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2013年09月14日(土) by スポンサードリンク [ Edit ]
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気が遠くなるほど永遠に続く深い哀しみ

 出られない。一生

9月ももう終わりですね。

何年も前、電車での出来事です。
ド派手な姉様の隣に、バーコードのおじさまが立っていました。
終電間際です。お疲れだったのでしょう。バーコードおじさまは立ったままウトウト。電車が揺れるのに合わせてよろめいてしまいました。
ぶつかられそうになったド派手姉様は、過剰とも思えるくらいおじさまを避けて、ひとにらみ。
若い女性が中年のオヤジを毛嫌いする気持ちもわからなくはないですが、現代の人間関係の希薄さを垣間見た気がして、少し悲しくなりました。

イチハラ会「或ル青年ノ恋」の台本を読んだとき、この出来事をふと思い出しました。

青年は旅に出ます。
せっかくの一人旅。に、つきまとう箱男。
箱男が書いている日記。
箱男に勧められ、嫌々ながら青年も日記を書いてみる。
そして、抑圧していた記憶を次々と思い出していくのです。

私自身も19歳の頃から日記をつけています。
読み返していて、ある一文を見つけました。

”こんなのは悪夢だ。”

顔合わせで櫟原氏が話してくだすった作品のテーマは、
「悪夢のような現実」
でした。
つまり、こうあるべき・こうあってほしいと自分が思っていることとは裏腹に、実際に目の前で起こっている「自分の望まないことばかりが起こり、それがさも当たり前のように繰り返される」悪夢のような現実。それを舞台で表現したいと。

状況や度合いは全く違えど、私も「悪夢だと思い込みたくなるような現実」について書いていました。日記に。
出演させていただけて、心底よかったと思いました。

青年は自分が好意を抱いていた女性を、「うっかり」殺してしまいます。
私は人殺しはしていませんが、上の日記を書いた頃、立て続けに友人が亡くなりました。
理不尽な死でした。

殺される女性の役をいただきました。
死んだ人間が、死後どんなことを思っているのかをひたすら考え続けた2ヶ月間でした。

どんなに苦しんで死んでいったのだろう。死んでからも苦しみは続いているのだろうか。
ちゃんと生きられなかった。ちゃんと死ねなかった。
それはどんなにか辛いことだろう。

最初の稽古では、殺されたことに対する怒りや悔しさ、憎しみを表現しようとしたのですが、櫟原氏から「怒りを抑えるように」とのダメ出しをいただき、ではどの感情が当てはまるのか、かなり悩みました。
行き着いたのは「恨めしい」という感情でした。
幽霊だもんなあ。いやいや。

エレベーターの中で殺された。出たくても出られない。このままずっと。
試行錯誤しながら生まれた感情は、自分を殺した青年に対する憎しみではなく、悲しみや寂しさの方でした。
それが正しいかどうかは、正直なところわかりません。
ラストで、青年の独白を全身で受け止め、エレベーターの中に帰っていく女。
このまま悲しみの中に深く埋もれて眠りたい。深く深く永遠に。

拙い演技でしたが、そんなことを考えていました。
台詞がない分、目を特に意識しました。
「青年を睨む目に、現代の人間関係の希薄さを感じた」とお客様から言っていただきました。とても嬉しいことです。

公演が終わり、家にいて、ふとバスタブに目がいきました。
「或ル青年ノ恋」は、実在の事件を扱った作品です。男性側の視点で描かれていましたが、女性の気持ちも大事にしたいとも勝手ながら思っていました。
あの女性は、どんな気持ちで、監禁され、陵辱され、殺されたのだろう。
あなたの無念を少しでも晴らしたい、おこがましくもそんな風に思いながら演じていました。
2012年09月30日(日) by 荒井美紀 [ Edit ]
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2013年09月14日(土) by スポンサードリンク [ Edit ]
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